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エッセイ
World Eight 加藤 由香
第1章 若かりし日々
第2章 起業
第3章 多角店舗化
第4章 試練
第5章 遠くに見えてきたもの
第5章 遠くに見えてきたもの
■ 会社の未来 ■
長く勤めてくれた経理担当者が、高齢もあり退職することになりました。
このまま新たな人を採用しても、今までの経理処理の遅さが改善されないような気がしました。経理担当がいなくても、楽に経理処理できる方法がないものか、今まで以上にリアルタイムでもっとスピーディーに行なえないものかと考えた末、自分でシステムを作ることにしました。
まず短時間で簡単に入力ができるフォーマットを考え、一度入力した数字を最大限に活かす方法、店舗を運営するために何が必要な数字で、何が不要な数字なのかを考えました。
どうしたら楽に管理ができるか。
そして、最短の入力時間で最高のデータを引き出すシステム作りが始まりました。
既存の財務会計ソフトでは分からなかった数字を、簡単に算出するシステムを完成させることが、将来的に会社の未来を左右することのように感じたのです。
それから私の長期に渡るシステム開発が始まりました。
■ 人間交差点 ■
私は起業してから長い間、外部の方との接点をあまり持たずにいました。そんなある日、同窓会の知らせを持って、中学時代の友人が訪ねて来てくれました。そしてお互いの仕事の現状や思い出話をするなかで、その友人は言いました。「世の中には素晴らしい人がたくさんいるのだから、そういう人達と繋がりを持っていろんなことを教えて頂きなさい」と。目からうろこでした。
それまでの私は、自分一人で悩み苦しみ、自分が決めたことに夢中で取り組むだけの日々でした。それから、その友人は素晴らしい知人の方々を沢山紹介してくれました。また、その紹介してもらった方々を通して、新たに同業の友人もできました。
さまざまな業界で成功されている雲の上の方ばかりですが、仕事はもちろんのこと、人間的な魅力に溢れた素敵な方ばかりです。私は今まで何をやってきたのか?どれほど狭い視野でものを見、判断していたのか?人と接点を持って事業を行なうことの大切さに、やっと気づくことができました。それから私の環境は、大きく変わっていきました。
■ すっかり、その気に ■
ある日、無我夢中でシステムを作る私を見かねた友人が、お世話になったお礼にとSEのお兄さんを紹介してくれました。それがご縁で、彼は自社用システムを各店舗に設置するネットワーク環境を整えたり、私一人では到底実現しなかった専門的知識を多く取り入れてくれました。
そしてやっとのこと、自社用店舗管理システムが完成しました。
完成した自社向けソフトが稼動して、目に見えた成果をあげだした頃、顧問税理士の先生や知人からの噂を聞いた同業の方々から、ソフトを見せて欲しいというお声が掛かりました。何件かの知人の店舗に無償でテスト導入することになりました。
自分が必死で作ったものが、思いもかけず役に立てることが嬉しかった。
そしてふと、「これは売れるかもしれない」と思うようになりました。
というのも知人の店舗は立派な業績を上げていて、大変繁盛し成功している大きな飲食店ばかりですが、世の中には小さなお店がたくさんあるのだから、滞在需要はかなりあると考えました。
そこで、顧問税理士の先生に相談したところ監修をしてくださることになり、本格的に販売用の店舗管理システムを新たに開発することにしました。
■ スタートライン ■
管理会社として順調に推移していた矢先に、諸事情により店舗が直営店として戻ることになりました。
社会環境は以前にも増して厳しい状況に変わりはありません。しかし、ここ数年で培った人との繋がりの中で、私は会社のために何をし、何が目標に導く近道になるのかが、はっきりと見えてきたような気がします。
また、店舗運営を共に考え共に悩み、実行してくれる人達にも恵まれました。
これからが本当の闘いであり、始まりかもしれません。
ソフト開発も順調に進み、以前から協力してくれていたSEの方と共同で取り組むことにもなりました。
■ ピンチがチャンス ■
昨年の飲酒運転事故をきっかけに取り締りが強化され、郊外型店舗全店が大きな影響を受けました。しかし、やっとのことで順調に推移してきた経営を、ここで止めるわけにはいきません。社会の情勢がどうであれ、そんなことに甘んじている場合ではないのです。
以前から検討していたバスを思い切って購入しました。運転代行サービスも待機所を設け、特別格安な料金で提供しています。しかしこの状況は、それだけでは補えないと思いました。
そんな時、「お一人様から迎えに行きましょう」店舗の責任者からそんな声があがりました。そして大々的な広告媒体で、お一人様から送迎しますと告知しました。フリーダイヤルでの予約受付も開始しました。そして現在、たくさんのお客様から予約をいただき、私を含めた多数のスタッフが週末になるとバスを運転して送迎に向かいます。
最近では以前なら入らなかった平日にも、宴会の予約をいただくことが多くなりました。
私は、もしかしたらこれはチャンスかもしれないと思いました。
いつも予約で満席の店舗に生まれ変われるチャンスが訪れたのです。
■ コラボ ■
今までは、各々の店舗がそれぞれのコンセプトに基づいて全く違う空間を作り運営してきました。しかしこれからは、他店では真似のできない、社会の流れを捉えた迅速なサービスの強化や、多種多様に広がるお客様の要望を実現するために、各店舗が協力してその目標に向かい進んで行こうという気持ちを総称して、私たちのお店を"コラボ”と名づけました。
この“コラボ”が一日でも早くお客様に浸透することが、私たちの願いです。
■ プレリュ−ド ■
人生の長い道のりの真っ只中で、15年という歳月は今思えばあっという間に過ぎ去ったような気がします。
この15年間、私を支えてくれた友人、知人、取引先の皆様、共に闘ってくれたスタッフ達、本当に大勢の方々のお力によって経営してこられたことを感謝するばかりです。
私にはこれから近い将来に、東京に飲食店を出店したいという目標もあります。
また、長期に渡り開発してきた店舗管理システムも完成しました。会社は発展を求めて、日々成長に向けて稼動しています。もしかしたら今までは、これからの長い道のりの前奏曲に過ぎないのかもしれません。
第1章
第2章
第3章
第4章
第5章